「竹下景子の話の片思い ゲスト甲斐よしひろ」 1978年6月12日〜16日(2−2) 

6月15日(木)


竹下
 こんばんわ、竹下景子です。
お会いして、ゆっくりお話してみたい。そんな思いが膨らんで。
竹下景子の話の片思い。

竹下
 今日もスタジオには甲斐よしひろさんにおいで頂いております。こんばんわ。
甲斐
 こんばんわ。
竹下 木曜日です、今日は。
甲斐 はい。
竹下 (笑)
甲斐 4日目ですね。
竹下 そうですね。
甲斐 やっぱり4日目ともなると、あのー、非常にもう親しいんだと言う感じで、あまりやり過ぎちゃうキライがあるので。
竹下 そうですか?
甲斐 一線を置いて、やっぱりここは、女優と歌手で(笑)。
竹下 (笑)
甲斐 (笑)いきたいと。
竹下 置くとどうなるんでしょうね。
甲斐 知りません(笑)
竹下 (笑)
甲斐 やっぱり(笑)
竹下 今、一番したい事は何かありますか?
甲斐 そうですね、あのー、ツアーがね、40何カ所ぐらい、2月の中旬から始まって終わっちゃったんですよね。
竹下 終わった所ですか。
甲斐 うん。だから、丁度今レコーディングの為に曲書いてるんですよ。
竹下 あー、そう。
甲斐 今ね、いろんな人と会って、いろんな話してるんだけど、今日もそう言う意味じゃ、いい感じなんですよ、僕はね。
竹下 ふーん。
甲斐
 やっぱり、いろんな人に会えるのって楽しいでしょ。
竹下 そうね、あたしも好き。
甲斐 で、初めてね、芝居を見に行ったの、僕。
竹下 へぇー。
甲斐 東京キッドを見に行ったんですよ。
竹下 あー、本当。あたし、見たいけど、あれ見てないな。
甲斐 最初っから全部芝居って言うとね、しんどいから、音楽があるのから行った方がいいんじゃないかってあの、忠告されまして。アドバイスを。
竹下 へえー。
甲斐 それで見に行ったんですよね。感動したんです、結構。
竹下 面白かった?
甲斐 面白かった。
竹下 あたしもじゃあ今度見に行こう。
甲斐 うん。映画はね、すごい好きだったから、昔からいろんなの見てる訳よ。
竹下 あー、そう。
甲斐 フランス映画が好きなんですよ。
竹下 あ、そう。
甲斐 フランス映画、好きです。
竹下 へえー。
甲斐 いいなと。
竹下 フランス映画でもさ、すごいもう本当にラブストーリーそのものって言うのとさ、もう1個はギャングものみたいなのじゃない。どっち?
甲斐 あのね、冒険者たちって知ってる?
竹下 だーい好き。あの映画。
甲斐
 あれを、あの世代なんですよね。大森一樹のね本読むと、やっぱり同じなの。大森一樹が。
竹下 あ、そう。あたし、あれ観てそう思った。オレンジロード。
甲斐 そうそう。
竹下 やっぱりそうなのね。
甲斐 すごい嬉しくなって。
竹下 うん。
甲斐 で、僕、ジョアンナ・シムカスって言うのが好きなの。
竹下 うーん。いい人ね。
甲斐 あの人、するめみたいな人なのね。
竹下 するめ?え?(笑)
甲斐 最初出てきた時、何でこんな人が女優やってんのかなって最初思ってさ。
竹下 うん、うん。
甲斐 そしたら、5分、10分おきにすごいいい顔になると言う。あの人は典型的な人ですね。噛めば噛むほどよくなる。
竹下 うん。
甲斐 で、すごいいいなって。大体、ニューシネマでしょ?僕等の世代。違う?
竹下 ニューシネマ?
甲斐 やっぱり東映の時代劇ですか?
竹下 いいえ(笑)違います。
甲斐 何か、あのー、悪人に囲まれてて、あのー、御用ちょうちんの奉行所20人くらい来たら、映画館のお客さんが、ワーって拍手するの知ってる?
竹下 (笑)知ってるけど、そう言う。
甲斐 急げ〜ってみんな言うのね(笑)。おかしいねー、昔は。
竹下 (笑)
甲斐
 昔は一体だったもの、映画は。
竹下 ね。

竹下 甲斐よしひろさんの嫌いなもの。無気力な人、目に星のない人、中間色、あじさいと菜の花以外の花は全部、いくら、納豆、光った魚。では、今日の曲です。「マドモアゼル・ブルース」

♪「マドモアゼル・ブルース」甲斐よしひろ

竹下 そうねー。映画は学校でほら、鑑賞会ってのあったじゃない。
甲斐 講堂で?
竹下 講堂で。寒い所でね。
甲斐 ええ。ママハハものとか、小学校の時、あったでしょ?
竹下 ママハハもの?三益愛子さん?(笑)
甲斐 うん、そうそう。
竹下 そう言うの、あまりなかった。
甲斐 本当?
竹下 でも、あたし達が観たのはね。
甲斐 年、偽ってるでしょ。
竹下 何(笑)
甲斐 偽ってない?(笑)
竹下 あれ観たよ。
甲斐 何。
竹下 アルム街のマリア(?)(笑)
甲斐 知らない。
竹下 知らない?でも私が行ってたの、ミッションスクールだったから、そう言うの観せられたのかも知れない。
甲斐
 小学校の時も男女共学じゃない訳?
竹下 小学校の時、普通。
甲斐 小学校の時、なかった?講堂で。
竹下 小学校の時はね、映画館に観に行った。コッペパンもって。
甲斐 ああ、そんな裕福な小学校。
竹下 (笑)
甲斐 うち、講堂でやってましたよ。
竹下 そう?
甲斐 それで、ママハハものなんですよね。
竹下 (笑)
甲斐 いつもね、ごはんがね、一膳しか食べられない少年が出てくるの。
竹下 かわいそうね。
甲斐 かわいそうなの。しいたげられて。で、ひねくれる訳よね。
竹下 うん、うん。
甲斐 何か、そう言うのありましたよ、忘れたけど。後半になると、隠密剣士が映画であの、講堂であったりね。怪獣ものがあったり。
竹下 あ、そう。
甲斐 うん。
竹下 小学校の時にはあれ観たよ。白蛇伝って言うマンガ。
甲斐 (笑)知らない・・・あ、東映の。
竹下 東映初のアニメーション。
甲斐 あー。サウンドオブミュージックが好きなんでしょ?、ところで。
竹下 それは中学2年の時に観に行ったの。
甲斐
 その話、いろいろね。
竹下 うん、だから、あの頃はわりとね、そう言うのが好きだったのねー。
甲斐 ミュージカルはあまり好きじゃないんですよね、今でも。で、ジュリー・アンドリュースって出てくるでしょ。
竹下 うん。
甲斐 あんまり好きじゃない。
竹下 (笑)そう?
甲斐 最初に好きだった女の子がね、ジュリー・アンドリュースが好きだって、あの、話しかけてくるの、僕に。
竹下 うん。
甲斐 まわりのね、人が、男と女が話すと、こう、指さすじゃない。後ろ指。
竹下 面白がるのよね(笑)。
甲斐 いやー、そんなの俺は嫌いだって言ったらね、それ以来好きだったのに、冷たくされたんです。だから、ジュリー・アンドリュース嫌いなんですよね、今でも。
竹下 (笑)そんな、勝手に決める訳ね。
甲斐 勝手に。
竹下 あ、そう。
甲斐 今、どういうのが好きですか?
竹下 今?映画で?
甲斐 うん。
竹下 映画はそうねー、やっぱり・・・。
甲斐 宇宙からのメッセージ?
竹下 アハハ(笑)
甲斐 (笑)ゴメンゴメン。
竹下 ねえ、スターウォーズとね、あの、サタデーナイトフィーバーを、どっちを観るって言ったらどっちを観ます?
甲斐
 僕、スターウォーズに行きますね。
竹下 あ、やっぱり。
甲斐 本当はサタデーナイトフィーバー行きたいけどね、今話してるでしょ。ね。で、今日、あれ、最初、僕、あんまり寝てないんですよ、今日。
竹下 あ、そう。
甲斐 朝から疲れてる訳、ずっと。だからスターウォーズがいいと(笑)。
竹下 (笑)
甲斐 ただ単純に。
竹下 あ、本当。
甲斐 で、普通、元気がある時だったら、サタデーナイトフィーバー行くよね。僕、あいつ好きだから。ジョン・トラボルタって言うんだっけ?
竹下 何か知らない。
甲斐 主役の男の人。
竹下 ああ、そう?
甲斐 うん。
竹下 私も観たい。
甲斐 あの映画はいいですね。
竹下 そうみたいね。
甲斐 よさそうな感じがします。
竹下 みんながそう言ってます。
甲斐 言ってますか。
竹下 ええ。

竹下 甲斐よしひろさんはやっぱり、中途半端な事はとっても嫌いなようです。今日はあんまり元気がないとか言ってましたけど、私の目から見ると、やっぱり元気です。


6月16日(金)


竹下
 こんばんわ、竹下景子です。
お会いして、ゆっくりお話してみたい。そんな思いが膨らんで。
竹下景子の話の片思い。

竹下
 えーと、とうとう最終日になりましたけれど、今週は甲斐よしひろさんにスタジオにおいで頂いています。こんばんわ。
甲斐
 こんばんわ。
竹下 もう最後ですね。
甲斐 ええ。
竹下 何か、ほっとしてますね(笑)。
甲斐 いや、惜しいなと言う感じがあったでしょ?今声に。
竹下 そうですか。
甲斐 ええ。惜しいなと。ちょっと力がなかったでしょ。
竹下 ええ。
甲斐 惜しいなと思って。
竹下 あ、そうなんですか。
甲斐 近いうちにまた呼んで下さい。
竹下 あ、是非。
甲斐 それではどうも失礼(笑)。
竹下 (笑)あの、そう言う訳にはいかないんで。
甲斐 はい。
竹下 とにかく話をしましょう(笑)。あ、あのー、そう言えばコンサート、もうすぐあるんですね。
甲斐 そうです。
竹下 来月。
甲斐 あのー、7月の23日に日比谷の野音って言う所でやります。
竹下 野外音楽堂。
甲斐 うん。そうです。
竹下 ふーん。コンサートの前っていつもどういうふうにしてるんですか?
甲斐
 あのね、僕等はね、コンサートの前はみんな、アワアワとしてる。
竹下 アワアワと。
甲斐 うん。あのー、そんなにいきり立ってないよ。
竹下 あ、そうなんですか。
甲斐 ただ、あのー、ちゃんと着替えるんですよね。Gパンでパッと出て行ったりはしないから、その着替える時に、ワーっとこう思い入れって言うか、やるぞっと言う切り替えをちゃんと作って、で、出ていきます。
竹下 あー、そう。私達の場合はさ、本読んだ時にまず変わるでしょ?自分が自分でなくなっちゃう所があって。後は、本番になる前って、衣装つけたり、お化粧してみたり、かつらをつけたりって言うので、段々変わってくるんだと思うのね、きっと。もっと違う自分に持ってくって。
甲斐 うん。
竹下 そう言う変わり目なんてはっきりあります?
甲斐 その間って鏡、見てるんでしょ?
竹下 鏡、見てたり見なかったり。
甲斐 僕ね、ずっと鏡、見てるの。5分ぐらい。出る前に。
竹下 あー、そう。
甲斐 で、こう自分でね、鏡、見てるんだけどね、これは雑誌の対談でも言った事、あるんだけど、鏡、見てるんだけど、見てないのね、本当は。
竹下 見てないの?
甲斐 うん。見てるんだけど、何かすごい遠い所を見てる訳。
竹下 ふ〜ん。
甲斐 本当はね、だから、確認だけなんですよ。
竹下 あー、そう。
甲斐 だから、そう言うので気持ちをすごいわき上がらせると言うか、そう言うのはある。だから5分ぐらいはジーっと見てる。出る寸前はね。
竹下 あー、そう。

竹下 甲斐よしひろさんの影響を受けたもの。明日に向かって撃て、イージーライダーなどのニューシネマ、詩人・金子光晴もの、神様仏様稲尾様、週刊サンデー・週刊マガジンの創刊号からの世代、西郷輝彦・17歳のこの胸に、今まで関わり合って来た人。では最後の曲は「グッド・ナイト・ベイビー」

♪「グッド・ナイト・ベイビー」甲斐よしひろ

竹下 これからどうなるんでしょうね。
甲斐
 何がですか、急に(笑)。急に、何がですか。
竹下 (笑)私達の将来の事。
甲斐 あー。
竹下 あ、すごく個人的な話でいいの。
甲斐 うん。結婚しようと思います?
竹下 結婚?
甲斐 うん。
竹下 うん、そのうちしようと思う。
甲斐 そんな感じですね。僕もそんな感じです。
竹下 します?やっぱり。
甲斐 そうですね。この前週刊誌に書かれたんですよね、僕。
竹下 あ、本当。あんまりそう言うの知らないんですよね。
甲斐 怖いですね。
竹下 どうだった?ねえ、どんな気持ちした?
甲斐 いや、おふくろが電話かけてきて、街、歩けないって、急に言ったんだよね(笑)。
竹下 アハハ(笑)。
甲斐 急に言う訳よ(笑)。
竹下 あ、そう。
甲斐 うん。
竹下 りりしいお母さんが。
甲斐 それでさ、あの、福岡でしょ、僕が。だから、福岡の週刊誌の広告があるじゃない。ラジオでいつも言う。それが僕の事しか言わないんだって、記事が。
竹下
 あ、やっぱり地元だから?
甲斐
 地元だから売れると思って。
竹下 そうね。
甲斐 いやですねー。
竹下 あ、そう。
甲斐 歩けないって言ってました。それはすごい陽気に言ってました。
竹下 アハハ(笑)。でも意外とそうなのね。
甲斐 うん。だから、未来って言うのもね、結婚かーとか言う感じでしかないね。今日をね、わりと必死でやる方なんですよ。
竹下 うん。
甲斐 だから、あまり考えない。
竹下 そうね。
甲斐 昔からずっとさ、映画俳優とかこう言う関係でやろうと思って来たんですか?
竹下 全然思ってなかった。
甲斐 普通の人だった。
竹下 うん。
甲斐 僕も歌を歌う、歌い手になろうなんて思わなかったもんね。
竹下 高校出るまでは?
甲斐 そうそうそう、ずっと。
竹下 そうね。私もついこの間まで思ってなかった。
甲斐 学芸会なんか出てたんですか?
竹下 学芸会はほら。
甲斐 主役で。
竹下 ううん、端役で。
甲斐
 やっぱ、ここに来た途端に主役と言う。
竹下 そうでもないけどね。でも、やっぱりなっちゃったからにはやりたいのね。
甲斐 あー。
竹下 主役とか端役とか。
甲斐 関係なくてね。
竹下 そう思っただけ。
甲斐 いいものをやりたいと。
竹下 うん。
甲斐 僕も、いい歌を作りたいですね。歌うって事よりも、作りたいって言う欲望の方が強いみたいね。
竹下 あー。すごい羨ましいわ〜、でも。そう言うふうに、どんどん自分のエネルギーで何か自分で作ってくって人、すごい羨ましい。
甲斐 それであのー、ね、たとえば自分の恋とか自分の愛みたいなのを歌にする訳じゃない。
竹下 うん。
甲斐 それにジレンマになった時、あったの。
竹下 あ、そう?うん。
甲斐 でもそれは、今は何ともないみたいね。
竹下 どういうふうに通り越したの?
甲斐 あのね、結局そう言うのを商売にして、自分の愛みたいなものまで商売にしていいのかみたいなジレンマに陥るでしょ、まず。でも、その、例えば、とても好きな人と別れたりする訳でしょ。その苦しみみたいなのは歌にして、ここを越えなきゃ俺はいつまでたっても生きられないんだ、みたいな。
竹下 はぁー。
甲斐 かっこいいですね。
竹下 いいですねー。
甲斐 でも、真剣にそう思ったの、その時。今もっと軽く思ってますけどね。
竹下
 (笑)そう。
甲斐
 うん。
竹下 ふーん。でも、そう言う事は、絶対あるわね、やっぱり。乗り越えて行かなきゃいけないし。
甲斐 いけないと言うか。
竹下 うん。
甲斐 固いですね、話がさっきから。
竹下 そうですか。
甲斐 いや、いいみたいです。こう言う話って(笑)。

竹下 1週間、久しぶりに同い年の人とお話をしました。でも、よく若者世代は今、何をしているのかわからないとか、とある大人が言ったりしますけど、でも、やっぱり私達の世代は私達の世代なんです。がんばりましょう。


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