「竹下景子の話の片思い ゲスト甲斐よしひろ」 1978年6月12日〜16日(2−1) 

○内容の説明○
初日の12日分の録音がない為、13日(火)から始まっています。

6月13日(火)

竹下
 こんばんわ、竹下景子です。
お会いして、ゆっくりお話してみたい。そんな思いが膨らんで。
竹下景子の話の片思い。

竹下 
今週のおしゃべり相手は甲斐よしひろさん。今日のファッションは、ブルージーンに、えー、無造作にシャツを着ていて、あとはハート型のペンダント。フフッ(笑)。こんばんわ。
甲斐 どうも。
竹下 いやに今日は真面目な顔してますね。
甲斐 いいえ、そんな事はありません。
竹下 昨日まで不真面目だったって訳じゃないですよ、別に(笑)。
甲斐 そうです。今日はあがってます(笑)。
竹下 どうしてですか?
甲斐 いえ。(笑)
竹下 (笑)。そういえば、また同い年の話から始まっちゃいますけど。
甲斐 はい。
竹下 あたし達の年の人って、今、わりと多いんですよね。そう思いません?
甲斐 ええ、そうですね。
竹下 フフフ(笑)。
甲斐 いや、多いですね。僕、スター千一夜・・あ、いいんですか?番組名言って。いいね。スター千一夜見てさ、何だっけ。
竹下 ハハハ(笑)。去年でしょ?
甲斐 去年だっけ。
竹下 去年よ、確か。3人で出たもの。
甲斐 そう。
竹下 年女って言われて。
甲斐 中田喜子と。
竹下 仁科明子ちゃんと私とね。見たんですか?あんなの。」
甲斐 見たんですよ。
竹下 花のニッパチ。
甲斐 北の湖と若三杉と麒麟児?
竹下 うん。
甲斐 どうして三羽がらすが。たくさんいるんですよね。相撲界の三羽がらすでしょ?
竹下 うん。
甲斐 女優で三羽がらす。
竹下 歌は?
甲斐 フォーク界って一羽よ。
竹下 一羽?
甲斐 うん。いないみたいですね。
竹下 いないかしらねえ。
甲斐 28年って、そりゃいるでしょう。そりゃあ。
竹下 でもそう言うふうには言われないわね。
甲斐 そうね。淋しいですよね。これはね。
竹下 フフ(笑)ああ。でも、気持ちいいんじゃない?
甲斐 (笑)なーにを。1人っての?
竹下 うん。
甲斐 でも、つるみたい感じはあるよ、少し。つるんでどっか行きたいって。一緒に遠く行こうって。
竹下 あー。でも、あれね。
甲斐 何。
竹下 やっぱり同じ世代なんだなー。
甲斐 そうですね。やっぱりあれですか。少年ジェットとか。
竹下 うん。テレビの話?
甲斐 ジャガーの眼とか、怪傑ハリマオとか。ローンレンジャーなんか、知ってます?
竹下 だ〜い好きだった、スーパーマンとか。
甲斐 (笑)全然違うの急に言うのね。そう言う人ですね、大体ね。全然違うのね。今、ローンレンジャーの事言うのかと思ったら(笑)。真面目な顔して本当に。
竹下 でも、よくテレビ見てたもん。あ、力道山が好きだったでしょ?
甲斐 あ!(机をバンッ)そうです!
竹下 (笑)
甲斐 三菱アワーがあってですね。
竹下 三菱アワー?
甲斐 うん。知らない?ディズニーランドかプロレスかって言う。
竹下 あ、そう。1週間おきだったのね。
甲斐 1週間おきだったんですよね。
竹下 後は?何か覚えてる?
甲斐 (笑)無理矢理急に短時間で引っ張って。
竹下 (笑)ごめん、ごめん、ごめん。

竹下 
甲斐よしひろさん。甲斐バンドのメンバーは4人。福岡2人、人吉1人、大村1人の全員が九州出身です。集まっては別れていくケースが多い、このニューミュージックの世界で、甲斐バンドはアマチュア時代に集まって来た仲間が今でも力を合わせて、自分達の音楽を作り出している感じです。今日の曲は「サルビアの花」。

♪「サルビアの花」甲斐よしひろ

竹下 大村ってね、うちのお父さんが生まれた所なんですよ。
甲斐 はあ〜。急に話すんですね(笑)。また朗読が始まるのかと思って安心してたんです、今、聞いてて(笑)。
竹下 あまりそう言うのはしないの。
甲斐 うん。
竹下 だけど、行った事ないんですよ。
甲斐 僕、この前行ってきました。コンサートで。
竹下 あ、本当。どんな街ですか?
甲斐 よく知らない・・・ディスコをダンスホールってまだ言ってるみたいですね(笑)。
竹下 (笑)今時?ああ、そうなんですか?
甲斐 本当に。
竹下 でも、貴重な存在かもね、そう言う所。
甲斐 うん。
竹下 (笑)
甲斐 本当に言ってるみたいよ。
竹下 あ、そう。
甲斐 うん。
竹下 もう、ダンスホールよりやっぱりディスコなんでしょ?
甲斐 何がですか?
竹下 そこ。
甲斐 いや、でも本当にディスコをダンスホールって言ってるみたい。あのね、2階にある訳よ、階段のぼってった。
竹下 うん。
甲斐 で、急にバンドが演奏しててね。ダンスホールって言うから、もっと社交的な感じかと僕は思って、そしたら、ちゃんと普通の踊りをやってるんですね、若者向けの。
竹下 若い子が多い訳?
甲斐 うん。いや、少なかったですよ、すごい。
竹下 (笑)そう。
甲斐 お客さん5人とか、そう言う感じだった。
竹下 えー、そう。
甲斐 うん。
竹下 へぇー。そう言う所、あんのね。
甲斐 (笑)あ、さげすんだ目をしてる。
竹下 今、そうじゃないんだけどね(笑)。わりと、九州の人って多いでしょ?こう言う、フォークとかニューミュージックとかやってる人が。だから、わりとこう、土地柄もね、そう言う点では、先行ってんのかなと思ったの。そうじゃない所もあるのね。
甲斐 そうじゃないでしょう、やっぱり。
竹下 そうじゃないの?
甲斐 九州の人って、たくさんいるでしょ?
竹下 いるみたいよ。
甲斐 ねえ。
竹下 うん。
甲斐 フォークの人で。
竹下 うん。
甲斐 みんな、やっぱりあれだもんね。そんなにすごい大都会で生まれ育った人なんて、ほとんどいないみたいな。
竹下 ふーん。
甲斐 僕等って、例えば、本当に緑がある所でさ、いつも休みになると預けられてたの。おばあちゃんの家に。
竹下 ああ、そう。へぇー。
甲斐 うん。だから、僕が生まれたのはすごい色街なのね、昔で言う。で、すっごい、あのー、街なんですよ、結構福岡では。
竹下 ええ。
甲斐 だけど、休みになると、そんなすごい、緑が生い茂ってて、こう、つくしがあったりさ、ぜんまいがあったり。で、そう言う所だから、雑多にあるみたいね、歌、作る時。
竹下 どんなもんが出てくる訳。
甲斐 みたい。だから僕ね、あのー・・・・やっぱりあるみたいです。
竹下 (笑)あ、そう。
甲斐 うん。本当に。

竹下 
遅れて来た文化人同士の話はこれで終わりです、えーとー、明日になったら、どんな話をするのか、まだ検討もつきませんが。また明日。


6月14日(水)


竹下
 こんばんわ、竹下景子です。
お会いして、ゆっくりお話してみたい。そんな思いが膨らんで。
竹下景子の話の片思い。

竹下 
今週の私のお話相手は、ニューミュージックの・・・うん、若き騎手とでも言うのでしょうか、甲斐よしひろさんです。こんばんわ。
甲斐
 どうも。連夜お招き頂きまして。
竹下 (笑)こちらこそ、わざわざ来て頂きまして。でも、甲斐さんのステージ、私、見た事ないんで。
甲斐 うん。
竹下 よく知らないんだけど。
甲斐 はい。
竹下 やっぱり色気があるんでしょうね。
甲斐 (笑)
竹下 (笑)おもむろに行ってます。
甲斐 そー・・うですか。いや、僕わかんないよね、自分はほとんど。
竹下 ふーん。あ、そう?
甲斐 うん。それは、演じてる所は多少にあるだろうけどね。
竹下 うん。
甲斐 だけど、そんなに最後から最後まで演じてはいないからね。
竹下 あー、そうね。
甲斐 やっぱり。
竹下 演じるって事にかけては、私達の方がそれこそ演じてるけど。
甲斐 うん。
竹下 もっときっと生なんでしょうね。
甲斐 うん、そうですね。ヒラと言うか、シラフと言うか、結構ね。
竹下 うん、うん。調査があったんですってね、どこに男の人の、どこに色気を感じるかって。
甲斐 うん、うん。
竹下 そしたら、女の人は、どこに一番感じると思う?
甲斐 うーん。
竹下 (笑)
甲斐 わかんない。全然わかんない。
竹下 全然わかんない?
甲斐 ほとんど。
竹下 ほとんど?男の人はあまりそう言うの、自分の事だからわかんないのかな。
甲斐 うん。
竹下 目なんだって。
甲斐 目。
竹下 うん。
甲斐 あー、なるほどね。
竹下 でも、私はその時、背中かと思ったのね。
甲斐 うん。僕は背中だと思う。それはね、男が見た場合の男の色気なのかも知れないね。
竹下 ああ、そう。
甲斐 うん。僕が思うのは。
竹下 ふーん。
甲斐 僕ね、やっぱりね、あの、感じるんですよ、背中に荷物ちゃんと背負い込んで生きてきた人って言うのは、とっても素敵だと思うのね。
竹下 そうね。
甲斐 逃げなくて。
竹下 うん。
甲斐 で、やっぱり男が最後、もう本音を言えるか言えないかみたいな所ってさ、どれだけ背負い込んじゃった苦しさで、ものを言い切れるかって言う所だと思うのね。でも、目って言ってたけど、目に力がある人は素敵だよね。
竹下 そうね。
甲斐 いつも。
竹下 うん。
甲斐 そう言う人は、見てて飽きないね。
竹下 飽きないね(笑)。
甲斐 つき合っても飽きないしね。
竹下 うん、うん。
甲斐 でも、男だけじゃないでしょう。女の人もそうでしょ、やっぱり。
竹下 私ね、目って言うのはだからね、男の色気って言うんじゃなくて、別に男の人でも女の人でも、どっちもいいみたいな。
甲斐 人間のね。そうですね。
竹下 人柄が出ちゃうみたいな感じね。
甲斐 うん。
竹下 でも、女の人の背中って言うより、男の人の背中って、その、そっちの方が意味が深いって言うかね。
甲斐 ああ、なるほどね。
竹下 そんな感じはするのよ。
甲斐 で、それと、後ね、目にね、星がね、最低1つか2つある人がいいですね、やっぱり。
竹下 星?
甲斐 うん。少女漫画みたいに。
竹下 (笑)キラキラしてるのかな。
甲斐 うん。だから、みんなやっぱり素敵な人に、男とか女って言うのはさ、星があるんじゃないですか。

竹下 甲斐よしひろさん。甲斐バンドのアルバムは、「らいむらいと」に始まって、「英雄と悪漢」「ガラスの動物園」「この夜にさよなら」そして「甲斐バンドライブ、サーカス&サーカス」。ソロアルバムは「翼あるもの」。その「翼あるもの」から、今日は、「恋のバカンス」

♪「恋のバカンス」甲斐よしひろ

竹下 これ、ナッシュビルで作ったレコード、アルバムの中からのやつ?
甲斐
 うん、そう。
竹下 じゃあ、全部、外人のスタッフ。
甲斐 うん、そう。バックもね。
竹下 言い方が変ね。ああ、そう。
甲斐 ミュージシャンもバックコーラスもミキサーも全部そう。
竹下 ふ〜ん。
甲斐 ♪こ〜い〜の〜♪って一緒に外人が歌ってるんだよね。おかしいね、こう言うのを聴くとね。
竹下 (笑)
甲斐 ローマ字で書いてあげたの。
竹下 あー、そう。
甲斐 何て歌ってるのかって聞くのね。
竹下 うん、うん。
甲斐 向こうの人ってね、譜面も何もいらないの。
竹下 あ、そう。
甲斐 来てって言うと、3人来るでしょ。
竹下 うん。
甲斐 そしたらね、1回聴いてね、自分達で全部コードを取るの。1回で。
竹下 ふ〜ん。
甲斐 歌う人だよ。それで、適当に私達が入れますからね、聴いて下さいって、それを英語で言う訳です、やっぱり。
竹下 ええ、そうでしょうね。
甲斐 うん。きちんと1回で歌ったの、これ。
竹下 ふ〜ん。
甲斐
 音楽に国境はないみたいね。
竹下 そうみたいね。
甲斐 本当に。
竹下 ナッシュビルってどんなとこ?
甲斐 日本にすごい似てますよ。あのー、保守的な、人間が保守的で。
竹下 ああ、そう。
甲斐 で、それできさくでね、素朴な感じで。
竹下 ふ〜ん。
甲斐 僕が生まれた福岡って言う所とすごく似てた。
竹下 あ、そう?
甲斐 最初、着いた時からすごい気楽な感じだった。リムジンがワーっと来る訳よ。向こうで迎えに。
竹下 うん。
甲斐 それで僕、テレビに出たんですよ、2つ。向こうの。
竹下 どういうテレビ?
甲斐 ナッシュビルって2つしかないの、テレビが。
竹下 (笑)うん。
甲斐 その2つとも出たの。日本でもなかなか出ないのに、僕。
竹下 すごいじゃない。どういう所で受けたのかしらね。
甲斐 日本から来たって、それだけでしょう。
竹下 アハハ(笑)。
甲斐 (笑)それだけ、本当に。珍しかったんでしょうね。
竹下 珍しかったのかしら。
甲斐
 うん。
竹下 でも、きっと嬉しかったんじゃない?向こうの人達も。
甲斐 どうして嬉しいの?(笑)
竹下 (笑)
甲斐 (机をドンッ)嬉しいんでしょうね。嬉しいと思います、僕。
竹下 うん。
甲斐 竹下さんが言うから、絶対間違いないと思うよ。
竹下 (笑)それは、私をちょっとバカにしてる。
甲斐 (笑)

竹下 最近は、いろいろな人が海外へ行きますけれど、う〜ん・・・。命の洗濯っての、とっても古い表しですけれど、やっぱり帰ってきた人の話を聞くと、みんな新しく自分の心を見直して帰ってくるみたいですね。


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