若いこだま 1978年6月16日「夏よ来い!ロックンロール大特集」

BGM♪「狂った夜」甲斐バンド


 こんばんわ、甲斐よしひろです。今夜は、えー、来るべき夏を吹き飛ばすって感じで、”夏よ来い!ロックンロール大特集”ってのを、えー、やろうと思ってます。えー、日本の素敵なロックバンドの曲を、ガンガンみなさんに今夜お送りします。
 サディスティック・ミカバンド、「Dance is over(ダンスはスンダ)」。


♪「Dance is over(ダンスはスンダ)」サディスティック・ミカバンド

 えー、サディスティック・ミカバンドは、もう解散してしまったんだけども、えー、この時の加藤和彦ってのは、とってもあのやっぱり、日本のロックと言う、非常にいい自意識があって、今彼はもう、あの、アダルトミュージックになってしまったので、若者の手と言うか、俺達の手の中にはもういなくなってしまったと言う気が、非常に俺はするんです。あのー、素敵な曲も、今あるのかも知れないんだけども、やっぱり、もう大人の音楽だと言う感じがして、つまんないって言う気が、はっきりしてます。このころの、松山猛と言うのは、もう天才で、俺はあのー、詞を書き始めたやっぱり要因ってのは、う〜ん、安井かずみとか、あのー、この松山猛って言う部分が俺の中にはあって、えー、その中でもやっぱり、ひときわ素敵な存在で、この人は、抽象詞を書いても、なんかパターンがあるしね。ちょっと松山猛とは違う感じで、あの、抽象詞を書いても、何かもって、ビシっとはまる感じで、あの、強い、ちょっとパワフルな詞を書いたりするので、やっぱりいいなーと、今、曲を聴いてても、えー思ってたんですけども。
 今日はあのー、ハガキをね、どんどん、あのー読もうと思うんですが、いつも、どんどんって言う感じで結局言うんだけど、なかなか読めやしないて言う感じで。えー、でも、あのー、曲はこんな感じで、ハードなのを、バーンとやるからね。
 今日は、かなりしんみりしたハガキを中心に進めていこうと思っとるわけですが。

 この方は、Kさん
甲斐バンドのレコードを聴きながら、初めてタバコを吸いました。5本、一生懸命吸いました。腰が抜け、気持ち悪くなりました。甲斐さんの放送を聞くのにも、タバコを吸うようになりました。どんどんタバコの量が増えていきます。普段の時は、全然吸いたくないのに、甲斐さんの声を聞くと吸いたくなります。甲斐さんは、専売公社のホームラン王です。

なーにを言ってるんだ(笑)。
甲斐さんの声は、ダバコの香り。
ね。
追伸。甲斐さんがステージで着る服は、自分で選ぶんですか?素晴らしいと言うか、セクシーと言うか、目立ちたがりと言うか、他の人も相当なんですけども。長岡さんの服は、もうひと工夫欲しい。
と。(笑)。書いてありますが。やっぱり俺は、タバコ吸う女ってのは、とってもいいと、俺は思うわけです。昔はね、高校の頃は、タバコ吸う女ってのは、ものすごく嫌いだったわけよね。それで、だんだん不良になって来てる人だから、僕は。だから、高校ノンポリ、歌い始めて少し不良、今は不良って人だから(笑)。俺は、今はやっぱり、つき合う女とか、やっぱり好きな女って言うのは、タバコ吸ってるのが本当にいい女だと、俺は思うわけです。この辺、あのね、かなり、本当に、好き嫌いってのは、偏見だからね。だから、こんな言い方をするんだけども。あのー、大人に、まあ、少女って言うか、ガールって言うか、その辺の人が、まあ、少年でもそうだけども、ある種の大人の時間って言うのを、完全に手に入れられたら、それはすごいいいと思うんだよね。やっぱり子供って言うのは、大人になりたいと思うしさ。あのー、大人って言うのは、早く歳取って、若くなりたいとかさ、その辺があるんだろうけども。えー、なかなかでもいいんじゃないかと思ったりするわけですよ、僕は。


♪「    ?      」内田裕也(?) 

 えー、とってもあのー、こう言うのはいいねー。とても素敵だよ(笑)。フフフ(笑)。”村上、個人タクシー呼べよー、お〜”(歌詞)(笑)。ああ言うのが、ほとんどいいみたいね、今は。時代的に。あのー、館ひろしとか矢沢永吉とかいるけどさ、俺は、キャロルの時は、もうすごいなと思って、今でも完璧に評価してるけども、近頃永ちゃんは、隙間が多すぎてね。何かこう、言葉で補ってる、音楽を補ってる気がして、俺は何か近頃、あまりもう、あのー、つまんないって言う気がするんだけども。あのー、”時間よとまれ”なんか、もうー、何かね、手塚治虫のマンガみたいで、あんまり好かん感じがする。うん。

 Yさんと言う方から。
高校を卒業して、1年以上も過ぎて、会社なんて、同じ事の繰り返しでつまんない。ため息ばかりの毎日です。19才の年頃って、もっと生き生きしてるんじゃないかしら。会社にもいい人はいるんだけども、ユミの事、かわいいって言ってくれる人、いるんだけど、本気にはなれなくて、ずっと昔に通り過ぎて言った人の事を思い出してみたり、そんなため息ばっかりの自分がイヤで、化粧を濃くしてみたり、タバコなんざ吸ってみたり、結局自分をいじめてるだけみたいで、ちょっとの間ですごく老けた感じなの。タバコを吸う女ってどう思いますか。
これも、ちょっとさっきと似たようなあれですが。
私のまわりの男はみんな、火をつけてくれる。
はぁー・・・。言い事だねー。しびれるね。
私のまわりの男はみんな、火をつけてくれる。
そう・・・。あの女の胸に火をつけるのは、マッチを擦るより簡単だと言うのが(机をバン)ありましたが。先週(笑)。
止めてくれる人なんて、いやしない。
止めてくれるって、あーそうか。タバコをやめるね、想いでまくらね(笑)。
みんな優しすぎてこまっちゃう。本当に、化粧とかタバコなんて、全然あわない女の子なのに。空っぽの日々の中で、甲斐さんのDJが唯一の救いなの。夏になったら会社をやめて、日本中、いろんな所行って、何かを見つけたいな。
と。あーそうですか。日本中、いろんな所まわっても、でもそんなにたいしていい事ないと思うよ、きっと。うん。自分のまわりにね、いい事、たくさんころがってるから。バネになる事ってのは、日常の中にね、1000ぐらいあるからね。1日。本当に。俺、自分でものすごく滅入ってる時なんて言うのは、本当にもう何もバネにもなりはしないからさ。俺も、あんたの言ってる事、わかるけど、だけど、俺はいろんな所、旅してるでしょ。で、いろんないい人に会うけどさ、もちろん、いい瞬間に触れる事もありますが、そんなにいろんな所に行ってもないよ、きっと。だから、そう言う自分のまわりでいい部分って言うのを探した方が、俺はすごい早いし、強くなれる秘訣なんじゃないかなと言うふうに思います。えー、それで、やっぱりタバコでさ、”私のまわりの男はみんな火をつけてくれる。”これは、結構あんたは素敵な女になれそうな気がして、とってもいい感じがするんですね。で、タバコを吸っても、吸われてる女っているじゃない。タバコ持ってるんだけど、なぜかタバコの方がかっこよくてさ、女、吸ってる女は全然かっこよくない。酒と一緒ですよ。だから、酒飲んでも飲まれてる奴って言うのはさ、やっぱりこう、美しくないと言う感じがします。はい。 四人囃子、「空と雲」


♪「空と雲」四人囃子

 おやすみって言う、甲斐さんの雰囲気が、まるで、去年までの恋人のようだった。よく、テープを交換したんで。
あ、その人とね。
彼がテープの最後に、おやすみってひとこと言う、その言い方が、今夜の甲斐さんの言い方に似ていた。やたらとリアルに、あの人の事を思い出してしまった。別れるべくして別れたけれど、母が、”まだまだあなたはこれからなんだから”って慰めてくれた言葉がとてもイヤだった。
あ、そうか。
慰めてくれた言葉がとてもイヤだった。あたしもあの人も、お互い一生懸命に愛していたんだから、たとえ、時の流れに乗って、想いがさめてしまったとしても、別れた事を、その事実を、未来に押しつけてしまうなんて、とても嫌いだ。3月の末から、別な人とつきあっているけれど、あたしには、6月4日のSW採用試験があるので、7月まで会わない事にした。会えばやっぱり心が乱れます。
あ、そうですか。うーん。うん。あ、昔、高校の時、こういうのあったみたい。うん。あった。うん、あったあった。高校の時つき合ってて、あった。うん。今、急に思い出しました(笑)。笑い事じゃ、ないね。
レコードも買わず、家事手伝いと予備校と軽い運動といろいろな勉強もして、そんな毎日の繰り返し。18才と3ヶ月。まだまだ、ガール。レディには、レイディにはなれない。甲斐さんは、ウーマンが好きですか?レイディが好きですか?
えー、Oさん、in八王子。八王子の方です。
 えー、ちょっと、恋人にね、去られて行ってしまった人のハガキが、なぜか僕の所に、たくさん来るので、こう言う事は、湿っぽくいうとさ、きついじゃない。だから、湿っぽく言わないからね。あと、2通読みます。

 髪をなでられた時、ぞっとするほど心地よかった。でもそれは、あの人が、酔っぱらった時の事で、あの人は、そんな事、まるで覚えてないのだれど。酔っぱらった時の事、みんなどうして忘れてしまうのかなぁ。私は覚えているのに。酔っぱらいの、心ない言葉も、私の為でない優しさも、みんな忘れられたらいいのに。
えー、中野区、U。
もう一枚。

 こんばんわ、甲斐さん。私は19才。1年間勤めた会社を、帰する所あって、辞めましたが、予想通り、世間の風は冷たく、普通の女の子に戻りなさいと言われながら、振り払い、振り切り、毎日を過ごしています。親にとっては、平凡な人間である事が、いい事なのかも知れませんが、平凡な女にはなりたくないのです。好きな事をするのが一番いい。”誰でも初めは臆病者さ”と教えてくれたあの人に、感謝しています。
うん、うん。東京都町田市、Sさん。
 えー、うん。あのー、いろんな人が通り過ぎて行って、いろんな人と出会って、また通り過ぎて行くんですね。それで、俺が少しだけわかってる事で言うのは、人はですね、こう、キザに言うと、人は別れる為に巡り会う事など、きっとなかったはずと言う事しかわかんないね。思い入れっていっぱいあるじゃない?想いって。それで、一生懸命好きでもさ、その人から離れなくちゃいけないとかさ、過ぎて行っちゃわなきゃいけない事ってあるのね。だから、後で思った時にさ、別れるべくして別れたんだとか言うってのは、もう、辛いじゃない、ものすごく。だから、あの人と私は、巡り会う、巡り会ったんだけどもね、別れる為に巡り会ったんじゃないって言う、いつも言い聞かせてさ。
 この前、別のラジオに出たときに、祭りの後の淋しさって言うのは、とっても辛いけども、あの、だからと言って、俺は、祭りに出会う事を恐れてはいないって言う事を言ったのね。で、人と出会う事も、そうだと思うんですよね。ものすごく辛いじゃない。ガチャーっと落ちてさ、落ち込んでさ、別れる時。だけど、そんな、その人に出会う事とかさ、祭りって言うのを、俺達は恐れて生きて行っちゃあ、いけねえんじゃねえかと言うふうに思うわけです。
 えー、さっき、このアシスタントをしてる、ワタリと言う男が、”がんばろうな、みんな”と言う事を言ってました。伝えてくれと。って感じで。がんばろう、みんな(笑)。本当、そう言う感じで、絶対。パンタ、「屋根の上の猫」


♪「屋根の上の猫」パンタ

 先日、と言っても、かなり前になりますが、ダンナ様と、サーカス&サーカス、コンサート、見に行きました。私も主人も、甲斐バンドのコンサートは初めて行ったんですが、私は、えらく感激したのに、ダンナ様はひとり、なんとなくついて行けないと言う感じで、かわいそうでした。私たちも年内中には、甲斐さんと同じ25才になります。四捨五入すると30ですが。
お前、恐ろしい事言うな。
ところで、思ったんですが、何か、どの曲も賑やかなんですね。静かに聴かせる感じの曲もあっていいのではないのでしょうか。
ええ。
それに、みんなで歌うのも、曲は、この曲だけ歌うのではなくて、聴いてる人が、歌いたい曲を好きなように歌えたらいいなって思ってます。
はい。
それから、終わりに近づいたら、後ろの人がドッと押し掛けてきて、足をいっぱい踏まれました。とても痛かったです。コンサート、とてもよかったです。どんどんやって下さい。これからも、体に気を付けて、がんばってね。
京都、伏見区、N様、Nさん。
本当に・・・。そうですか。えー、ええ。あなたの言う通りでしょう。はい。がんばりますよ。俺は、あの、暴走族もさ、いろんな人も、みんな来れる所でやりたい。1年以内に、本当。今、こう言うさ、結婚して、男、ダンナ様が来てさ、やっぱり、ちょっとついて行けない部分って言うのは、あるのは、俺も、わりと思うんだけどさ。えー、でも、そうでもないのかも知れないんだけどね。まあこれは、個人の差だからね、あれなんだけども。でも、全ての人が来てくれる部分って言うのを、俺はもうやっぱり、もう1回出したいね。バーって。うん。やっぱり、いろんな男に見に来て欲しいと思うし、いろんな女の子、女の人にも来て欲しいと思うわけです。えー。

 甲斐バンドのステージを見た、ある男性の感想。甲斐は、やたらミック・ジャガーに影響受けてるらしく、すごく似ていた。でも、いかしてた。声が。甲斐さんって言うのは、結局、とっても演じてるって言う感じを受けた。あのつっぱりが地なのか、たまに見せる、ひょうきんな所が地なのか。よくわからないけど。そして、結構優しい所もあるようだ。甲斐バンドは、日本のバンドには、珍しい存在だと感じた。オリジナリティーのある、数少ないバンド。ある、一種のスタイルを持ち続けているバンドだ。黒い夏に、手の届きそうな今。Mより、甲斐さんへ。

と言うハガキですね。
 俺はね、あのー、今ね、やっぱり、40何カ所ぐらい回ったのね、春。で、やっぱり、1回決めたパッケージで回っちゃうとさ、やっぱ、何曲か飽きる所があるのね、曲、やっぱり。何曲かあるわけ。そう言うのをいつも切って、いつも自分で新鮮に歌える歌って言うのだけ、いつも、2時間なら2時間の枠の中でやり続けたいと言う事を、いつも思ってるわけです。えー、でも、まあ、なかなか難しい所もあるんだけども。バンドだからね。1人だったら、バーっとすぐ変えられたりするんだけども。
 えー、今後、まあ、7月の23日とかさ、日比谷の野音でやるんですが、あのー、ソロLPの中の曲をね、あまり、この前まではやらないつもりだったんだけども、ガンガンやります。ええ。ほとんどやるかも知れない。で、俺は、このソロLPの音を、俺達のバンドでやるって事で、俺達のバンド、もしくは、俺達メンバー全部もまた、もっと変わって、違う所に行けるかも知れない。高い所にね。って言うふうに、思うわけ。えー、やりますよ、だから。はい。
 えー・・・。あ、そうか。宛先を言わなくちゃいけないんだ。今日は、ハガキを結構読んだつもりなんですが、やっぱり読める部分って言うのは、これぐらいみたいね。何か、うん。あのー、だけど、こう言う感じで今ね、思ってるんだけどね、あの、先週も言ったか。ひと月のうちにさ、4週間あるじゃない?で、1回、1回がさ、最初がハガキでしょ、2回目は対談でしょ、3週間目が特集。ね。えー、先週みたいに。それでまたハガキと言う感じで、行きたいなと思うわけです。あのー、そしたらみんなも、ハガキ出しやすいじゃない。特集の時にバーっと特集の感じでくれればいいしさ。思ってる事も、ズバズバ書いて来て欲しい。あの人に、あの人と、対談して欲しいとか。それも書ける。こう言う、かなり決まってるとこが、今、日本ではダサイと、わりと受けるみたいよ。水戸黄門とか(笑)。そう、思ってます。はい。えー、渋谷区神南NHK、確か150番だったような気がするんだけど。若いこだま。えー、それで、あのー、もう1枚最後に読みます。

 埼玉県、えーこの人は、ちょっとわかりません。何とかEさん。
こんばんわ。久しぶりに、甲斐さんの声、聞きました。えー、話はガラっと変わって、最近、あのアントニオ猪木さんが、子供をたくさん肩や腕に乗せ、フラフラしながらも笑ってる顔を、画面で見ます。それを見ていると、甲斐さんの、あの興奮して、猪木さんのお話をしていた事を思い出して、つい吹き出してしまう。
あ、そうですか。これ、どうして最後に読むかと言うとね、アントニオ猪木ってさ、プロレスでさ。あの、ちょっと元気すぎて、マイク、たくさん吹いてる感じがするんだけど(笑)。すいません、みなさん。お聞き苦しいですか?(笑)でも、元気な方がいいでしょ。アントニオ猪木ってのは、プロレスではね、ものすごくシャープな感じね、技。ね。だから、プロレスを、最初入る人って言うか、見て入る人って言うのは、このアントニオ猪木で入りやすいのかもんない。でもさ、最終的に、みんなたどり着くって言う所は、ジャイアント馬場に行かなきゃダメみたいよ。俺、絶対そう思う。だから、んー、あのー、相撲でさ、相撲好きになるのは、高見山とか、貴乃花でいいのかも知れないけどさ、最後は北の海に行かなきゃ人間じゃないって言う感じが非常にします。アントニオ猪木も、非常に素敵だと思うんですよね。僕ね、今、本当。だけども、キー坊が、アントニオ猪木らしいのね。だから、ダメなような気もします(笑)。
 今年、もう、一番推薦したいレコード。これ、絶対流行る。流行んなきゃ嘘だよ。流行んなかったら、甲斐バンドも流行んないかも知れない。サザンオールスターズ。最後に。「勝手にシンドバット」


♪「勝手にシンドバット」サザンオールスターズ

 それでは、みんな、今夜も素敵な感じで、夜が過ぎて行きますように。おやすみ。



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