若いこだま 1978年4月28日「翼あるものーSide B 」 |
|
♪「ユエの流れ」甲斐よしひろ | |
えー、先週はあのー、まあ、いろいろ、ソロLPのポリシーみたいなのをね、ドクドクとたれましたので、今週は非常に軽い感じで、気楽に行こうと思うんですが。 えー、何て言うか、僕は今まであのー、外国旅行と言うのは、3回4回、まあちょっと、それぐらい行ってるんですが、あのー、観光会社で4ヶ月いましたから。ええ。ちょっと赤面しましたが。えー、いわゆる、やっぱりね。遊びで旅した方がいいよねー。旅は。うん。本当、思うよ。あのー、商売で旅するとね、あのー、つらいね。旅って感じじゃないから、まず。で、僕はですね、観光会社の時は、お客さんを連れて日光まで行った事が(机をバンっと叩く)僕は、そう。思い出した!俺はあるんだよ。日光まで。それでねー、おばあちゃんの団体だったのね。それを俺、ちゃんとね、前で旗持って行きました(笑)。今思い出して、ちょっとまた赤面してますが。できれば避けたいと思っておりました(笑)、今。えー、あったんですが、やっぱりねー。あれは仕事と思うとつらい訳ね。それでねー、寝れないんですよ。ゆっくり。ねー・・。あのー、おばあさんですから。やっぱり夜中に起きてね、ちょっとおトイレ、とか言う。そんな、下の世話までしなくちゃいけないと言う(笑)。やっぱりねー、あのー、ありまして、なかなかあのー、寝付けなかった記憶がありますね。うん。それでー、とにかく、やめました。それ以後は、やっぱり遊びでできれば旅したいと思って、いつも、汚く、いじましく旅をしておりますが。最初行ったのがニューヨークで、これはもう僕が非常に好きな街で。だいたい僕は都会指向がすごい強い人間なんですが、まあ、都会指向が強いわりに、非常にねー、田舎も時折行かないとダメだと言う、ちょっとこの辺が矛盾、複雑な僕の心境の所なんですが。まあ、これはねぇ、すごいわかるのね。まず、生まれ育った所が、僕は福岡の清川と言う色街で育ってて、それで、えー、冬休み、夏休み、春休みになると、非常に放任主義なので、もう、休みが始まったとたんにすぐ田舎に行けと言う・・・でー、そのまた行った田舎が、非常にもうド田舎でありまして。えー、山と川と緑がもう、ばっちり揃ってて、上流からイカダでワ〜っと下流まで流れて、また走ってイカダ持って行って流れる。恐ろしい所で過ごしておりましたけど、わりとそう言う感じありますね。やっぱりね。 えー、ニューヨークに行って、いろいろ体験したんですが、4日間ぐらいいたのね。その話をまあ、曲を聴いて話そうと思います。これは、あのー、次の曲は、浜田省吾と言う、僕の非常に親友と申すべき人が、僕の為にくれた曲です。はい。「あばずれセブンティーン」。 |
♪「あばずれセブンティーン」甲斐よしひろ | |
大変に健康的な曲をお送りしました。「あばずれセブンティーン」。えー、これは非常にいいですね。これはシングルにしたいよ、俺は。世の中に俺は言いたい。そう言う感じで。えー、浜田省吾君が僕にくれて、こう言うあのー、この辺に、チラっとたとえば、”愛した男はいたよ、憎んだ男の数だけいたよ”と言う詞が3番にあるんですが、僕はああ言う詞に非常にこう、弱いんですね。あのー、「あたしのブギウギ」と言う、朝丘・・朝丘ルリ子じゃなかった、えーマキが歌ってる・・・あ、浅川マキが歌ってる、あるんですが。あのね、あの、何だっけ。えーっと、えーっとね・・・♪何度も何度も振り向いた〜♪と言う曲に、俺はじとーっとなる訳ですが、まあ、この辺は心情的なものだから、わからんだろうな。みんなには。うん。まあ、いいや。(笑)。えー、ニューヨークの話をします。何を言ってるんだ(笑)。 えー、あのね、まずね、もう、何て言うかね、行ったんですよ、ニューヨークに。うん。そしたらね、びっくりしたのはもう、これはびっくりたんだけど、眼球に注射器、注射針を刺して死んでる浮浪者を見まして。あれがまずニューヨークの第一印象で。うわー、すばらしい街だなーと思って。僕はあのー、龍の、限りなく透明に近いブルーとか、大藪春彦とか、やっぱりあの辺の文学が好きだし、まあ、甲斐バンドと言うバンドの歌を聴いてたら、わりとそう言うのはコロコロ、コロコロ、所々に落ちこぼれてる感じはあると思うんですが。あのー、やっぱりニューヨークってのはすごい街で、あそこはあのー、とにかく、50ドル以上持っちゃいけない。50ドル以下も持っちゃ危ないと言う街で、50ドルだけポケットに入れて歩けば、後ろから拳銃突きつけられても、えー、50ドル渡せば殺されずに済む。100ドル持ってたら、ちょっと大金なので殺される。50ドル以下は、何にもないから、えー、そんな、顔見られただけじゃつまらんって言うんで、また撃ち殺すと言う、恐ろしい街で。僕はニューヨーク3泊くらいしたんですが、その時はやっぱり50ドルだけポケットに入れてて、あと1000ドル近くの金は全部、靴の中に忍ばせると言う、恐ろしい感じで。だけど、グリニッヂ・ヴィレッヂとか、そんな所に行きまして、やっぱり一度住んでみなきゃわかんないので、1年ぐらいは住みたいなーと、今でもちょっと心残りで思ってますね。ええ。 えー、僕のソロLPの3曲目になるのかな?これは、うん。これもちょっと思い入れがあって、まあ、ボチボチ話して行こうと思いますが。 BGM♪「恋のバカンス」ザ・ピーナッツ 聞こえますか?みなさん。古いですね、これは。これは、あたしがねー、小学校の、僕が3年ぐらいだと思うんですよ。えーっとね、兄貴がバイトをやってて、そのバイトに2回、後ろから、新聞配達ですが、手伝った事があって、その兄貴と新聞配達をやり終えて帰る時に、八百屋の前からもう、みそ汁のいいにおいがね、パーっと流れてきて、ああ、おなか空いてたまらんなーと言ってたその店頭から流れてたのがこの歌で。いやに食いもんに関係あるような思い出を言ってますが、好きですね。はい。これをやりました。本当は「振り向かないで」と言う、ピーナッツの曲を本当はやりたかったんだけども、でも、こっちの方がアレンジしやすいから、これの方がいいだろうと言う事でやったんです。聴いて貰います。「恋のバカンス」。 |
♪「恋のバカンス」甲斐よしひろ | |
これは、あのー、マスターテープで今かけてるので、あのー、音質的にはそんなによくないと思うんだけども、えー、300曲の中から選んで作ったLPです。よく選びました。半年がかりくらいで選んだんだよね。いや、もっと選んだね。頭の中ではもう1000曲ぐらい。それでふるいにかけて、結局最後に60曲ぐらい残って、それをまあ、いろいろ何人かであれこれ悪戦苦闘しながら、くっちゃべっていたんで。最後は30曲にしぼって。えー、その中から15曲選んだのを外国に、ナッシュビルの方に持っていって、それでまあ、作ったと言う感じですね。 あー、いろいろ、まあ、こういう内容LP聴くと、まあ、誤解されやすい所と、いろいろまあ、あるんだけども、とにかく、そう言う難しい感じで聴くとつらいから、歌はねぇ。そう言う感じであまり聴かずに、肩、楽にして聴いて欲しいと思う訳ですが。昔からねー、僕はいろいろ、歌についての事、思ってる事って言うのはね、あのー、これはまあ。ジャックスの早川義夫が多分にどこかで教えてくれた所もあるんだけども、えー、俺は、個人的に作る訳です。歌を。で、自分が歌いたい所を歌うと。それで、あのー、それをもし、100人の人が聴いたら、俺は、1人の動機で作ったんだけども、100人は100人の動機で聴きゃあいいんじゃないかと。それがまあちょっと、難しく言えば、難しいけどね。そう思うんですよ。で、たとえばまあ、甲斐バンドの歌が、まあ、ファンがね、女の子がわりと多いと言う話になって、女の子の為だけに歌を作るようになると、これは、そのバンドはおしまいだと言う、非常に難しい現象があるのね。僕はこの辺は、いつも思ってて。えー、俺は個人的にしか歌は作らんと。それで、譲れないもの、人に絶対譲りたくないものだけを歌にする。えー、だから、あのー、女の子の為だけに僕等が歌を作り出すと、それは、甲斐よしひろ、もしくは、甲斐バンドが終わりの時でしょうと言う事を、よく取材なんかでも言うんですが。歌を非常に大事に歌うって言う事じゃなくていいと思うのね。ひょっとしたら歌ってのは。としたら、すれ違いのどうでもいい曲なんかを歌っちゃった方が、ひょっとしたらいい歌だったりするかも知れないし、ものすごく難しいと思うわけ。考えすぎてもダメだし、考えが足りなくてもダメだと言う。だからやっぱり問題なのは、あのー、一生懸命生きてて、一生懸命なんかこう気に入った曲だけ歌いたいなと言うふうに思ってて、このLPも、先週まあ言ったんだけど、シンガーとしてだけの甲斐よしひろの勝負をしたかったと言うふうに言いたいんですが。 BGM♪「マドモアゼル・ブルース」ジャガーズ |
えー、今度は2曲聴いて貰おうと思います。えー、今ちょっと後ろでかかり始めましたが。これは、ジャガーズの恐怖のあの岡本さんの歌ですが(笑)。GSのね、どうして、あのー、生命が短かったかって言うのを、今度何かの、まあ、GSの特集かなんかやって、その時に言いたいんだけども、甲斐バンドをね、あのー、あるバカな解説者が、レコードレビューで、GSよりも劣るとか、非常に変な比べ方をしてるんだけども、俺は、GSじゃないからね。GSってのは、全く精神論がなくて、えー、作詞、作曲家から作られて、ただ歌ってただけと言う、非常に弱い立場のブームだけで。俺達がやりたいのは、そう言う事じゃなくて、自分で、えー、精神も歌ってて、生き様も歌いながら売れる曲をやりたいんだと。甘い部分も歌いたい。そう言う事をまあ、やりたい訳なんですね。えー、その「マドモアゼル・ブルース」と言う曲と、僕のこれは1回甲斐バンドで出した曲を焼き直しした「薔薇色の人生」と言う曲を、2曲続けて聴いて貰おうと思います。みんな、恐怖になるなー。いい曲だから。「マドモアゼル・ブルース」。 |
♪「マドモアゼル・ブルース」「薔薇色の人生」甲斐よしひろ | |
えー、僕の初めてのソロLP「翼あるもの」。先週今週、2回に渡って聴いて貰いました、えー、音楽に国境はないと言う、非常に健康的な言葉があって、あんな言葉は大嫌いなんですが、でも、僕はこの時は、ナッシュビルに行く前に録ったデモテープだけ持って、譜面も持たずに行った訳です。それで、青い目の人達とスタジオに入ってやったんですが、本当にだけど言葉はいらなかったですね。音楽に国境はないと言うのは、あれは本当だったなーと、恐ろしいなとちょっと思ったりしたんですが。やっぱりそう言う事じゃなくて、人間的な、非常になんかふれあいの所で生まれたアルバムだと言う感じがして、非常に好きなLPに仕上がりました。えー、来週は、何か僕はお休みだそうで、再来週になる。ね。再来週から聴きましょう。それで、次からはゲストもどんどん呼んで、また、あのー非常に楽しい番組にしたいと思います。宛先、いいます。東京都渋谷区神南NHK金曜日若いこだま甲斐よしひろ様の係り(笑)。えー、ハガキ来た分、ちゃんと読んでますから。ええ。あのー。いいハガキだけ読みます。全部ちゃんと読んでますよ。はい。それではみなさん。来週聴かずに、再来週に行きましょう。おやすみなさい。 |