若いこだま 1978年4月14日「甲斐よしひろの人間像&甲斐バンドの軌跡」


オープニングテーマ♪「風が唄った日」甲斐バンド


 こんばんわ、甲斐よしひろです。先週は、僕のこの若いこだま、初めての放送って事で、スタジオからのライブバースデーと言う感じでやったんですけども、今週はこんな感じで、まあいろんな事をくっちゃべって、まずは行こうかなって思ってる次第です。

 先週は、まあ親しい人達にたくさん集まって貰って、まあ、あの個人的過ぎるくらい個人的にやらしてもらった訳ですが、まあ、初回にしては大成功だったんじゃないかと言う、非常に楽観的な感じで言ってますが。今月1ヶ月は、だいたい、甲斐よしひろ人間像と言う感じで、あと、僕がいる甲斐バンドと言うものの事を喋っていこうと思ってるんですが、普通は、こういう感じで喋り出すと、趣味とかいろいろ喋んなくちゃいけないんだろうけども、まあ端的に言えば、好きなものって言うのは、酒と女と音楽だと言う感じで、非常に薔薇の日々を求めて生きていきたいと言う、非常に短絡的な人ですが。
 とにかく、今日はいろいろ今まで甲斐バンドと言うのは、デビューして4年目に入るんだが、ライブを入れて5枚出てると。その5枚のLPから、好きな曲を適当に1曲づづ、もしくは2曲づづ見繕って、聞いて貰おうと思ってる訳です。
 えー、まずは曲を聴いてもらいます。これは、1枚目のLP「らいむらいと」と言うLPの中からの曲ですが、「思春期」と言う曲を聴いて貰います。


♪「思春期」甲斐バンド


 非常に、これは今、いろいろスタッフと話をしたら、20才の頃じゃないかと言う恐ろしい説が出まして。20才ねー。ふるけとうもんね、ちょっとね声がねー(笑)えー、まあ何て言うか、リードギターから完全に負けてると言う声ですが。えー、これ作ったのは、たぶん19の終わりくらいだったと思うんだけども。


BGM♪「バス通り」甲斐バンド
 えー、今バックで聞こえてるのが、これが僕等のデビュー曲の「バス通り」と言う曲で、デビューした時にねぇ、最初どんなふうだったかと言うと・・。あ、そうですね、端的に年代で言えば、74年の秋にデビューと言う感じに、確かなると思うんですが、結成したのは74年のこの5月に結成して、その前の74年の3月に、ある民放の放送局のフォークコンテストで1位になったと。まあそれは、多分に間接的な感じなんだけども、この曲でデビューした訳ですね。わりとねぇ、最初はね、どんなふうになりたかったと言うと、一発目は50位に送り込みたいと、ヒットチャートのね。で、僕は、リバプールサウンズで育った古い人ですから、やっぱり、あのヒットチャートをいつも賑わしながら、で、たとえば、リバプースサウンズで非常にポリシーがあるハンドが残ったと、ねぇ、いくつか。ビートルズとかストーンズとかキンクスとかそうだけど。その間に僕は、グループサウンズも聞いてて、それであのー、何て言うか、グループサウンズの曲のすばらしさってのは、僕は認識してるんだけども、あの人達の生き方的な、もう、だらしなさみたいなのに、僕は非常になんかこう、立腹してるところがあって、昔から俺達は、やっぱりヒットチャートを賑わしたいけども、いつもね、えー、やっぱり、生き方的には、ちゃんとそのー、LPの中でも、レコード外の所でも、はっきり露出しながら生きていきたいなと思って、バンドを組んだ思い出がありますね。うん。
 その前までは、俺は1人で生ギターとハーモニカで、1人で照和と言う非常に暗い地下室で歌ってた訳なんだが、ま、本来なら、僕はあのー、どういう人かと言うと、普通のサラリーマンに僕はなりたい人で、えー、これは、あのー、どうしてかと言うと、うちが商売をやってる関係で、やっぱり日銭の暮らしをちっちゃい頃からおくってたと。で、やっぱり、保険がある生活を俺はしたいと言うふうに思ってて、これは中学校から、非常にませたガキですが、そんなふうに思ってて、自分で食う分は全部、あのー、親からももちろん少しはもらってたけども、バイトを大抵ずっとやってて、ま、これは、あのー、兄弟の、兄貴3人いるんだけども、それの感化があって、やっぱり自分で食う分は自分で稼ぐと言う、非常にすごい事を兄貴達が俺に教えてくれた所があって、そんなふうにやってたんですが。
 えー、それで、ちゃんと就職をする訳です。僕は。4ヶ月間、えー、某観光会社に就職して、結構これはいい観光会社で、えー、4ヶ月だけ、資本主義社会の体験をしたと言う感じなんですが。えー、何でやめたかと言うと、そうですね、2ヶ月くらい、そのサラリーマンで生きてて、2ヶ月目くらいに、俺はこのまま課長になっても嬉しい人なのかなと言う事をふっとまず思って、課長、部長になって、嬉しいなと思う人だったら、この社会ってのは生き甲斐のある所だなと思ったのね。でー、俺は、嬉しくないんじゃないかって、ま、ふっと思って、それで、まあ、官僚主義の人とか、いろいろいますよね、50過ぎの人生とかね。定年後の人生を楽しみに生きるとか、俺はやっぱり、そういう生き方じゃなくて、毎日毎日が非常に自分の手の中で掌握できて、あのー、ちゃんと刺激があって、今日も1日無事過ぎて最高だったなと言う、ま、無事過ぎてって感じじゃないな。生きててよかったと言うふうに感じられて、1日が過ぎていく感じの方が、ひょっとしたら、合ってるんじゃないかなと、だんだん思いだした訳ね。で、こんなふうに言うと非常に、サラリーマンをやめて、歌の道を選んだと非常にかっこいい生き方的にあの、聞こえる訳ですが、その頃の僕は、その4ヶ月、サラリーマンをやめた時の僕って言うのは、非常にもう挫折感いっぱいで、失望いっぱいで、それで、俺には何があるだろうと思った時に、歌があるなと。これは非常にあのー、魔が差した所で思ったんですね、僕はね。
 僕が作ったLPの中でも、非常にこれはもう、1枚目のLP「らいむらいと」って言うLPの中の内容のものよりも、ぐっと非常に俺側に歌が作られたと言う、2枚目のLPの中から、えー、聞いて貰おうと思います。「英雄と悪漢」と言うLPの中から、甲斐バンド、「東京の冷たい壁にもたれて」。


♪「東京の冷たい壁にもたれて」甲斐バンド

 えー、照和と言う所で、結局歌ってまして、福岡のこれは街の真ん中にある喫茶店の地下にある、薄暗い所なんだけども、とにかく、この暗い汚い所ほど、すげーいいバンドが出たら、素敵に映る場所はなくて、悪いバンドが出ると、本当に最悪に映ると言う、恐ろしい場所なんですが、そこで、メンバーと会って。最初、大森信和と言う、うちのリードギターと会ったんだけども、あの人は、非常になんかあのー、いい男で、にこやかに僕に近づいてきて、最初はセッションをやって、そのセッションをやってるのを、客席の後ろかなんかで見てたのが、今のベースギターの長岡和弘で。僕は弾き語りだったから、1人で歌ってたから、結局、アマチュアのくせに、1年間に、あのー、自分のコンサートを1回、いつもやってたのね。ワンマンコンサートって言うか、一応聞こえはいいんだけども。それで、1000人近くの客をいつも集めてて、その時にまあ結局セッションみたいな形で2人を借りてて、プロになった時に、どうしても、ドラムが欲しいと言う事で、あのー、松藤と言う男を、今の松藤英男と言う男を、引っぱり出して来たんだけども、この人は、他のバンドのリードギターをやってて。で。何でね、リードギターの男をドラムにしたかと言うと、あのー、変にこう、癖があるドラマーってのはまず必要ないなと思ったのと、やっぱり人間的に非常に気に入ってる所があって、この男は最初、俺に会った時って言うのは、学生服の時だったのね。だから、高校の2年かなんかの時に。で、もう、すげーかわいい顔のくせに生意気な所があって、学生服で、タバコ、スパスパ吸って、僕にバス賃を借りに来たという、恐ろしい男なんで。そんなんで、まあ結局4人で組むようになって。
 その、やっぱり甲斐バンドって言うのができて、まあ2年目過ぎて3年目にちょうどなるあたりですが、その時に吹き込んだ「ガラスの動物園」と言うLPの中から、「男と女のいる舗道」


♪「男と女のいる舗道」甲斐バンド

 えー、ジャン・リュック・ゴダールと言う監督がいて、昔兄貴に、一番上の兄貴に連れて行かれた映画で、”女と男のいる舗道”ってのがあったんですが、それを観て、非常にものすごくいいなと思って、それで、やっぱりそのサウンドトラックを買ったのが、一番最初に買ったレコードって言う訳で、やっぱりあのー、映画、非常に好きです。今でもものすごく好きだし、暇がないんだけども、暇がある限り、やっぱり映画を観ようと思ってるし、映画人と言うさ、あの映画に関わってる人種が僕はものすごく好きで、僕の歌って言うのは、だいたいあのー、なんか、映画的なショットな感じの部分が多いんだけども、次に聞いて貰う曲もわりとそう言う感じで作ったと。ちょっとまあ意図してると言えばそうだね。「そばかすの天使」


♪「そばかすの天使」甲斐バンド

 デビューの頃の、和田アキ子が俺は非常に好きで、「星空の孤独」とか「どしゃぶりの雨の中で」とか、えーいろいろあったんですが、そのペース、まあ、線と言うか、スタイルと言うか、その辺を継いでくれそうな、内藤やす子と言う歌手がいて、僕は彼女が非常に好きで、これは、内藤やす子の為に作った歌なんですが、もったいないからあげなくて、自分で歌ったと言う感じなんだけども(笑)。
 初めて、甲斐バンドのライブレコードが出たので、その中から、「吟遊詩人の唄」。


♪「吟遊詩人の唄」甲斐バンド

 今週は、まあこんな感じで、甲斐バンドの今まで4年間くらいの軌跡みたいなのを、ざーっとね、なぞったと言う感じですが、まあ、あのー、折に触れて、いろいろ僕等のバンドの話とか、僕の事とか、これからずっとありますから、喋っていこうと思うんだけども、来週は、僕の初めてのソロLPのやつを、「翼あるもの」と言うタイトルのLPを、2週間に渡って聞いて貰おうと思ってます。
 えー、とにかく、ハガキねぇ、どんどんください。俺は来た分、絶対全部読むし、えー、今までそうして来たし。あの、いいハガキがあったら、やっぱりこの放送でも喋らして貰おうと思ってます。えー、宛先を・・・言わなくちゃいけないんだ。そうか。宛先はねぇ・・・。あれ?えーっと、あった。渋谷区神南NHK金曜日若いこだま、甲斐よしひろの係りまで。ちょっと今まで、四谷の方でやってたので(笑)。渋谷区・・・甲斐よしひろの係りまで、是非、ハガキをどしどしください。
 えー、それでは、僕等の初めてのライブLPの中から、最後の曲になりました。えー、これを聴いてお別れと言う事です。さよなら。「ポップコーンをほおばって」。


♪「ポップコーンをほおばって」甲斐バンド



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